「怒らないとなめられる」は本当?子どもとの信頼関係を築くヒント

「子どもになめられるから怒るしかない」
「最近、何を言っても言い返してくる」
「父親が怒らないから子どもになめられている」

子育て中の親御さんから、こんなお悩みをよく耳にします。
たしかに、子どもが反抗的な態度をとったり、言うことを聞かなかったりするのを見ると、
「もっと厳しくしないと」と思ってしまうかもしれませんね。

でも、本当に「怒らないこと」が原因で、子どもになめられたり、反抗されたりしているのでしょうか?


「怒る=言うことを聞かせる」は逆効果?

少し考えてみてください。

もしあなたの職場で、
上司があなたの言うことを全く聞いてくれなかったり、
理解してくれなかったりしたらどうでしょう?

あなたは上司に反抗しますか?
そのとき、単に「怒らないから反抗している」のでしょうか?

きっと、
「この人は私のことを分かってくれていない」
「私の意見を聞こうとしないのに、なぜこの人の言うことを聞かなければならないんだ」

と感じるのではないでしょうか。

上司が何か指示をしてきたときに、
「いやいや、あなただってできてないじゃないか! なんであなたにそんなこと言われなきゃいけないんだ」と思ってしまう。それは、あなたの気持ちや状況を理解しようとしない相手に対して、反発心が生まれる自然な心理ですよね。

近年、厳しい叱責や体罰が子どもの心身に与える悪影響は、多くの研究で指摘されています。
例えば、ユニセフの報告書では、体罰や心理的攻撃が子どもの精神的健康、認知発達、学業成績に長期的な悪影響を及ぼす可能性が示されています。

また、脳科学の分野でも、慢性的なストレスが子どもの脳の発達にネガティブな影響を与えることが明らかになっています。

このことから、ただ感情的に怒るだけでは、
子どもが一時的に言うことを聞いても、
根本的な解決にはつながりにくいと言えるでしょう。

むしろ、子どもは萎縮したり、反抗心を募らせたりする可能性もあるのです。


「理解されない」ことが反抗の引き金になる

この心理は、親子関係にも通じます。

子どもが親に反抗したり、言うことを聞かなかったりするのは、
もしかしたら「怒られないから」ではなく、

「自分の気持ちを理解してもらえていない」
と感じているからかもしれません。

「私の話を聞いてくれない」
「私の気持ちを分かってくれない」と感じると、

子どもは反抗的な態度をとることで、自分の存在や意見を主張しようとします。

親から何かを注意されたり、正しいことを言われたりしたとしても、
子どもは心の中で「でも、ママ(パパ)だってできてないじゃん!」と反発している可能性もあります。
これは、子どもなりに親の言動と自分の状況を照らし合わせ、不満や不公平感を感じているサインなのです。
子どもは本当によく大人を見ています。

東京大学大学院教育学研究科の遠藤利彦教授らの研究でも、
子どもの自己肯定感や共感性は、親が子どもの感情を丁寧に受け止め、対話する姿勢に大きく影響されることが
示唆されています。

子どもが「自分の気持ちを分かってもらえている」と感じることで、
安心感が生まれ、自己肯定感が高まります。

これは、子どもが困難に直面した際に立ち直る力であるレジリエンスを育む上でも不可欠な要素です。

つまり、子どもの反抗は「理解してほしい」という心のサインかもしれません。


まずは子どもの心に寄り添ってみる

もし、お子さんとの関係で「反抗されているな」と感じることがあれば、それは子どもが「分からないから反抗している」と考えるのではなく、
まずは「子どもの気持ちを理解しよう」と努めるところから始めてみませんか?

  • 「今、どんなことに困っているのだろう?」
  • 「どんな気持ちなんだろう?」

子どもの話に耳を傾けることはもちろん、言葉にしない心の中の気持ちを理解しようとすることで、
親子の関係性は大きく変わっていくはずです。

考えてみてください。
たとえ意見が異なる相手でも、自分の話をよく聞いてくれて、気持ちを汲み取ろうとしてくれる人に対して、
あなたは反抗しようと思いますか?

良い人間関係を築く上で最も大切なのは、相手のことを心から理解しようとする気持ちと、その姿勢です。


怒らなくても良い子は育つ!

実際に、怒らなくても素晴らしい子に育っている家庭はたくさんあります。
もしあなたの周りにそのような人がいたら、ぜひその方とお子さんのやり取りをじっと観察してみてください。

きっと、そこには「怒る」とは違う、「理解」と「尊重」に基づくコミュニケーションがあるはずです。

ある研究では、親が子どもの努力やプロセスを具体的に承認することで、
子どもは失敗を恐れずに挑戦し、学習意欲を高めることが示されています。

例えば、「よく頑張ったね」「その工夫が素晴らしいね」といった具体的な声かけは、
子どもの内発的動機付けを育む上で非常に効果的です。

感情的に怒るのではなく、子どもの気持ちを理解し、その成長を心から承認すること。
これこそが、子どもが健全に育ち、親子の信頼関係を深めるための鍵となるのではないでしょうか。

岡崎ほっこり学舎では、お子さんの「失ってしまった自信」を取り戻すために、一人ひとりの気持ちに寄り添った指導を大切にしています。勉強を通じて、お子さんが「分かった!」「できた!」という喜びを感じ、自己肯定感を育めるようサポートしています。

もしお子さんのことでお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談くださいね。